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親戚の少女
私が生まれたのはかなりの田舎で、道を歩けば声をかけられるし、近所に親類縁者たちが固まって生活をしているので、お盆や正月などはそれこそ大人数の宴会が催されます。
昔ながらの風習が残った地区でしたので、本家や分家といった家父長制のならわしもありました。そうは言っても昔ほど上下関係の厳しい感じではなく、なんとなく行事があるときは本家に集まるといった程度です。私は本家の次男として生まれたので、長らくそういった風習に親しんできましたし、東京に出るまでは当たり前だとも思っていました。
ありさは、私のはとこにあたり、親に連れられて盆や正月になると僕の家にやってきました。初めて見たのはまだ赤ちゃんのときでした。当時、思春期真っ盛りだった私は、そういった親族たちの宴席が苦手で、あまり積極的には参加していなかったので、赤ちゃんだったありさを抱くこともなく、「へぇ、そうなんだ」と一瞥しただけでした。ただ、ありさ(本当は漢字で書くのですが伏せさせてください)という名前を聞いたときに、「なんだか不思議の国のアリスみたいだな」と思ったことを覚えています。
※この続きは、「マニア倶楽部2019年11月号」をご覧ください。