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浅ましくて恐ろしい、私の快感そのものが先生なのだと気づいてしまったのです。

貸し出された黒髪巨乳愛奴・第2信 告白者・頼子(仮名)※付録DVD収録
●温度のない言葉
「君が頼子さんかな?」
170センチぐらいのスラリとした体型にダークグレーのスーツをまとった男性。年齢は30代後半~40代前半ぐらいでしょうか。歯並びのいい口元と一重まぶたの切れ長な目が印象的でした。

「そんなに緊張しないで。私は××さんみたいに怖くないから」
私がうつむいて黙っていると、覗き込むようにして、田中さんはにっこりと微笑みかけました。その真っ白な歯に、どこか不気味さを感じずにはいられませんでした。

待ち合わせ場所では、有名企業のオフィスが立ち並び、私と同じぐらいの女性が足早にハイヒールを鳴らしていました。小ぎれいなタイトスーツに身を包んだ彼女たちは、普通に恋をして、普通のセックスをして、普通の仕事をしているのでしょうか。
それとも、それは仮の姿で、『マニア倶楽部』に登場する女性と同じように苦しみを抱えて、生きているのでしょうか。私はそんなことを考えながら、田中さんに手を引かれてホテルまで歩を進めました。そんなはずはないのに、私のハイヒールの音だけが、彼女たちとは違うように聞こえました。
部屋に着くと、田中さんは服を脱ぐように言いました。今まで知っている先生の言葉とはトーンも響き方もちがいます。そこには何の温度も感じませんでした。触れるだけで凍てつくような先生の言葉、柔らかな羽毛で包まれるような温かい彼氏の言葉。田中さんの言葉は、そのふたつとはまったくちがうのです。

「じゃあ縛っていくよ」
私は素直に従います。先生の命令でここに来ている以上、私に断ることは許されません。手順は先生とほとんど変わりません。それもそのはずです。田中さんは先生に縛り方を教わったそうです。
「先生とは長い付き合いでね。昔はよく2人で奴隷を縛り合ってたもんさ。先生はね、これまで何人もの奴隷と交際してきたし、いろんな子を調教してきたんだけど、そのなかでも君はかなりのお気に入りみたいだね」
縛りながら、田中さんは唐突に先生の話を始めました。そういえば私は先生のことを何も知りません。縛りの鈍い快感に侵食されつつも、私は耳を傾けました。

「先生はね、奴隷のレンタルはしない主義なんだよ。自分にできる調教が終わったと感じたら、それでおしまい。僕みたいなのはカワイイ子とできればいいからさ、よく先生のおさがりを慰めてあげてたんだけどね」
先生のおさがり……。私はもう捨てられてしまったの? 一瞬そんなふうに捉えてしまいそうになり、急に動悸が激しくなっていきました。
「ちがうちがう。急にそんな悲しい顔したからビックリしちゃったよ。先生は、今回初めて奴隷をレンタルしたんだ。それはなぜかって、自分の調教だけでなく、君にたくさんの悦びを与えてほしいということだよ。つまり、君は今までの奴隷とはちがって、まだまだ調教してあげたいんだろう」
縄の締め付けがだんだんときつくなっていきました。すると、今まで過ごした先生との日々が次々と映像として頭の中を駆け巡り、快感の吐息をこらえることができなくなっていきました。

「ずいぶん感じやすいんだね。こりゃあ先生も夢中になるわけだ。このムッチリした太ももなんて、実に縛り甲斐があるってもんだ」
田中さんはそう言って縛り終えて強調された私の乳房を肉体からはぎとってしまうかのように、強く揉みしだきました。
「あうぅ!」
私は小さく叫びました。それは、先生とはまったくちがう強烈な痛みでした。
※この続きは本誌『マニア倶楽部2017年7月号』をご覧ください。