【栄養満点料理】 ノルマ地獄 〈第18回〉 全身を嫌な汗が伝い、その場から逃げたい思いで……。

【栄養満点料理】
私は小さいころからあまり食に好みがありません。
というか、食べること自体にあまり興味がないと言った方がいいでしょうか。
嫌いな食べ物はたくさんありましたが、普通に不味くないモノを適度に食べられればいいという感覚でした。
家族もみんなそのような感じだったので、特に料理に力を入れてみようなどということはしたことがありませんでした。

ですが、以前ノルマで書いたように、少食だった私は普通より多くの量を食べることが苦痛でした。
それがある日もう一人の脳内の私を刺激したのです。
実家に住んでいたころはおやつくらいしか作ったことがありませんでしたが、一人暮らしをするようになって、何かと料理をするようにはなっていました。
ですが、あまり凝った料理などは作る気がなく、適度にお金のかからないモノを作れればいいやという感じでした。
そんな私が年頃になったり周りの友だちたちの影響を受けたりして、肌にいい栄養素や便秘解消にいい食材などに興味を持ち始めました。
そして、休みの日に少しずつ手間のかかる料理を作るようになっていったのです。
ですが、普通に料理をして美味しいものを一人で食べることが喜びになるはずがありません。
私は倒錯した性癖の持ち主なのですから。
私の脳内の管理人は、ある日私に栄養満点の料理を作らせる計画を立て始めました。
それは一見美味しそうに見えて、量もかなりあるものでした。
基本的にはレシピどおりに作れば美味しくできるものですが、それにわざと色々なモノを混ぜて不味くしてしまうのです。
そして、私はもちろんその料理を笑顔で食べきらなければならないのです。
作ったものは具だくさんのスープでした。
この時点で想像ができるかもしれませんが、一回の食事で食べるのは無理な量です。
ですが、次の日まで残すことも許されず3食が苦痛になる量として作ることになりました。
材料はトマトにナス、ホウレンソウにケール、ひよこ豆・しめじなど・・・。これをコンソメベースで味付けします。
一見すると美味しそうなスープなのですが、ここに最後に入れていくモノが私を苦しめるのです。
それは、納豆2パック、栄養ドリンク3本です。
今思い出すだけで、作っていた最中からあふれ出ていた嫌な汗を思い出します。
納豆単品はそのまま食べる分には嫌いではないのですが、スープ系のものに入れるとねばねばの見え方が気持ち悪くなります。
臭いはそこまで気になりませんでしたが、見た目で吐きそうになりました。
そして最後の極め付けが栄養ドリンクです。
確かに身体に悪いものではないですが、入れて火にかけながら混ぜはじめた瞬間から臭いが強烈で涙があふれてきました。
全身を嫌な汗が伝い、もうその場から逃げたい思いでいっぱいになりました。
できあがったものを食べる瞬間がきました。
お皿にスープをついでいきます。
納豆のネバネバが糸をひいているのが見えます。
それ以外はお茶一杯だけを机の上に用意しました。
食べ始める前に頭の中の私が言います。
「ちゃんと笑顔で食べられているか確認するために、顔が見えるように鏡を置こうね」
逆らうわけにはいかないので、私は机の上に自分の顔が見えるように鏡を置きました。
そしていただきますをします。
最初の一口を食べた時に、今日一日の苦痛が十分に想像できる不味さでした。
特に栄養ドリンクは味がまったくスープと混じらず、ただただ主張してきます。
ですが、手を止めることは許されません。
不味いということを顔に出してもいけません。
私は鏡を見ながら笑顔でスープを食べ続けます。
必死に吐き気を我慢するたびに涙が頬を伝います。
なんとか朝ごはんを食べ終わった後、鍋に残った残りの2食分を見て、その場で座り込んで泣いてしまいました。
もちろんその日は3食そのご飯を食べきり、飲み物は食事1回につきお茶一杯だけ。
夕食を食べ終わって鍋を洗っているときの安堵感は普段ではなかなか味わうことができません。
ですが、このノルマは自分をあまりに許せなかったときにしか実行しなくなりました。
もちろんそのたびに作るメニューは違いますが、毎回泣くほどのものを作り続け、食べ続けています。

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操・・・5歳の時にMに目覚め、隠れて自分を苛め続ける。高校2年のとき、インターネットで知り合った男性を通してSMを知り、それ以来SMの世界に浸かる。痛みや苦しみを与えられると身体が反応し、相手に命を預けることで愛を感じる。

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