真・エゴイストのつぶやき 第14回  【漫才コンビ The Cats】

穂積さんから、原稿が届きましたので、掲載します。



【2016年3月××日】

「ミュゲ師匠、今日は留置所からお手紙がきましたよ。えっと・・・・おまえなんか消えてくれ。だそうです。

まったく、私を師匠に会わせてくれたと思ったら、もう消えてくれとはさっぱりわけがわかりませんが・・・・いや、消えるのは簡単ですけどね。
師匠を置いたままで飢えさせちゃまずいので。どうします? 間違っても師匠道連れにはしませんよ」
ミュゲ  
「・・・・」(しばし考えて持ってきたのは掃除用に取っておいたレジ袋。そして小さな手提げバッグ。バッグの上にちょんと座る)
私  
「ミュゲ師匠、ずっとついて行くよ、ってことですか?」
ミュゲ  
(私の手に前足を重ねる。)「当たり!」
私  
「嬉しいですよ! でもついて来るとおっしゃっても私の行く予定の地獄三丁目三番地まではるばる此処にお呼びした師匠つれてくわけにはいかないのですから。誰かの家へお預けするなりなんなり。とにかくお腹が空くのはよくないですからね。信頼できるとこに行ってていただかないと」
ミュゲ  
(私の手をしつこく噛む)
私  
「痛いですよ師匠! 痛い、痛い、痛い・・・・!!」
「わかった! ミュゲ師匠、私師匠と此処に居たいです! ミュゲとみんなとずっとずっと此処に居たい。わかりました!」
ミュゲ  
(噛むのをやめて静かに前足を重ねてくる)「当たり!」
その夜私は感動で涙が止まらなかった。
生まれて初めて感じる「生きていたい」という強い思いを噛みしめた。
 
私に伝わったとわかったように、ミュゲは傍で丸くなり、静かな寝息を立てていた。
その顔があまりに愛らしく、私の涙をさらに誘った。
手紙の返事はこのことをありのまま書いた。
「今までで一番美しいと思えた。ずっとミュゲとそこに居ろよ」
再びきた返事にはそう書かれていた。
偶然だったのかもしれない。しかし私にはそれでも充分すぎるくらい充分だ。
今までいつ死んでもかまわないし、寧ろ早く終わらないかと願っていた思いがまったくの錯覚であり、私の本能と潜在意識は小さな子猫と共に、確かに此処に生きて居たいという意志を示したのだ。
人は生きている間、心の底から生きて居たいと感じる瞬間が何度あるのだろう? なぜ他の人々はいつまでも生きていようとするのか、私には今まで理解できなかった。未だ納得のいく答えを返してくれた人はいない。「本能だよ」と言われたところでじゃあそれを超えて意志を以て死を選ぶことができる、私にしてみれば人間の特権をどうして人々は使うことなく不完全な身に甘んじて生きていられるのかと今でも不思議に思う。
 
しかしその夜今も足元に静かに座っている一匹の猫は、ひたすらに自分の存在があるから私にも一緒に此処に居よう、と強く訴えてきたように感じられたのだった。
私はこの夜の感動を生きている限り決して忘れない、忘れてはいけないのだと思う。
このところすっかり猫日記のようになってしまっているけれど、SM自粛中の私の生活がいかにミュゲに依存しているか、おわかりになるでしょう。そして親ばかなようだけれど皆見た人は口を揃えて才色兼備な猫だと言うのは全く否定のしようがないのです。
先ほどの話を私が如何に感動したかお伝えすることはなかなか難しいのですが・・・・おまけにミュゲはこの話を他言することをあまり好んでいない様子。
PCを覗き込んで今も首をかしげています。
次回は猫日記ではない話をいたしましょう。
梅雨入りして間もない今日この頃、敬愛なる方もどうかお体を護持会うくださいますように。

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