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改造される肉奴隷【逸見闇彦の世界】

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ベテラン性奴の秘密ショウ 三十九歳懐妊中
逸見闇彦・画
※逸見氏への作品の感想等がありましたら、hisei@sanwa-pub.comもしくはコメント欄までお寄せ下さい。

マニア倶楽部5月号掲載(【新】風俗資料館通信より)

■異喜情念の私描画、愉芽世界での愛妻現実……この言葉でピンと来る方が必ずやいらっしゃることと思います。
逸見闇彦氏――地下牢に幽閉された肉奴隷の屈辱と歓喜の作品世界を『異喜◆域19号』にて発表し、多くのファンを震撼させた、私にとっては伝説の作家です。
熱く滾る情念、鋭敏な官能が全て刺激されるような恍惚、苛烈極まる拘束と加工でありながら、なんとも愛おしげに描かれる熟れた女体。
逸見氏の心の中で、長い時間をかけて温められ、命を吹き込まれた肉奴隷たちが、見る者の夢を強烈にかきたててくれます。
奈落の底で咽び泣く哀れな肉奴隷の涙は、私には満ち足りた幸福の涙にも見えるのです。
『スプロウト』(叶夢書房)の創刊号から11号には、連作口絵とともに小説「奈落の淫花 肉奴隷のお奈未」が連載されています。
熊本の温泉街にある小さな飲み屋「縄のれん おなみ」で常連客と楽しげに語らう艶めいた女将の名は松尾奈未。
かつて「縛りの女王」と呼ばれたポルノ映画界の大スターだったと続けば、
皆さまも、そこに重ねられた女優が誰なのかがおわかりになるかと思います。
しかし、逸見氏の恋慕は、ただのオマージュ小説とは別次元の作品世界を構築し、
実在の女優への甘い憧憬を底に秘めたまま、
自分だけの終生の責め奴隷になる「お奈未」の人生そのものを、肉体と心の襞の奥底まで描いてゆきます。
第一話は飲み屋の常連客達とお奈未の会話のみで進みます。
優しい客達との言葉だけのSM遊戯からは、
お奈未その人の、女優という仕事を全力で成し遂げた女性のしたたかさ、ふところ深い優しさ、明るくはじける笑顔、スパッと勝ち気な性格、ときにお茶目なユーモア、そして孤独の寂しさといった、繊細多彩な魅力が次々とあふれてきて、女性である私までが、お奈未のことを大好きになってしまいます。
お奈未の可憐な演技と内に秘めた欲望がいりみだれ、一つの現実世界が生き生きと動き出します。
かつてお奈未の映画で緊縛指導をやっていた縄師の仙田(縄仙)が、
ふらりと店にやってきたことからお奈未の奈落への道程が始まります。
懐かしい昔話に二人の心が寄り添い、炎が燃え上がってゆく細やかなかけひき。
自宅に縄仙を招き入れ、思い出の映画のシーンを再現するように始まった二人きりの閨。
誠実な縄仙の滋味深い愛情行為とも思える、厳しい縄、執拗な責めに、とろとろに蕩け、悶え狂うお奈未。
喉にねじこまれる巨大な張形、乳首とクリトリスの根元にきつく喰い込まされるリング、七つの場所に穿たれた太く重いピアス、体を締め上げる分厚い皮の枷……この後いよいよ縄仙の地下牢に幽閉され過酷な被虐調教が始まるところで、なんとこの小説は中断となりました。
ここで驚愕のお知らせです。先日資料館に世田介一氏が遊びに来てくださいました。
『異喜◆域』『スプロウト』の編集人でもあった世田氏曰く、なんと逸見氏はその後も「奈落の淫花」を書き続けているとのこと。
その幻の続編が『秘性』に掲載されることになりました。資料館は大激震です。
この場をかりて、世田氏のご尽力に感謝を申し上げます。
文:風俗資料館館長 中原るつ
※注 未読の読者の方を考慮し、秘性14・15号でスプロウト掲載の1~11話を一挙掲載。
その後続編の連載が始まります。
イラストの出典
「異喜◆域 19号」1990年6月発行
「異喜情念私描画~愉芽世界での愛妻現実~」より