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美しき金髪の支配者【女神の愛】

女神の愛で好評連載中の小説『白い神』の第一部を限定公開
『白い神』
作:夢堂楽
絵:迂闊十臓

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第一部 恐怖の美女集団
『女神の愛 第3号』収録
「白い神」と呼ばれる集団があった。その存在は一般には知られていない。
世界の諜報機関やマフィアやテロ組織には知れ渡っていたが、誰もが「白い神」の事について語ろうとしない。
その昔、北欧の海を支配したバイキングの末裔。
真の系統者バイキング・クイーンと言われた絶世の美女を頂点とした恐怖の暗殺集団。
ジャスミンという名の長官と彼女の率いる若き小隊長たち。
若さと美貌。鍛え抜かれた功撃力で世界の紛争地帯に潜入して目的を果たす。
そして、小隊長に支配され、その意のままに命を掛けて「白い神」に尽くす男たち。
中東のアラブ首長国連邦ドバイに基地を置き、ドバイ秘密警察所内に常時十名ほどの小隊長が任務に就いている。
小隊長たちの任務とは中東のオイルマネーで裕福なところに集まる男たち。その中でドバイの秘密警察が独自に展開する外人部隊に志願してきた男たちを一人前の兵士に訓練して中東の紛争地に派遣する。
そして、小隊長と共にテロ集団と銃火を交え、殲滅する。
同時に敵を生け捕りにして基地に連行して苛酷で妖美な拷問を加え、テロ集団の隠れた情報を引きだす。
小隊長たちが、荒くれの男たち、あぶれ者の集まりである外人部隊に君臨できるのはひとえにその実力からなのだ。
バイキングの真の末裔のジャスミン長官は代々、北欧の海岸線に沿って、ノルウェイ、スウェーデン、フィンランド他にもデンマークやドイツまでバイキングの子孫が存在する中で闇のクイーンとしてバイキングの末裔たちに君臨し、また、その生活を扶助し、バイキングの末裔としての誇りを持たせている。
彼らの多くは漁業を営むのが多く、その中でも美少女を選んで「白い神」の組織に招き入れる。
ジャスミン長官の仕事は美しく強く残酷な「白い神」に相応しい小隊長を作りだすことにあった。
北欧の女性は金髪碧眼の美女が多い。
中でも少女のうちから特別に教育して卓越した暗殺者。苛烈な拷問者。そして、妖艶で淫蕩な女スパイにも変身する小隊長を作りだす。
漁労者は大抵が貧しい。そこで、美少女を大金を支払い組織に売って貰うのだ。
漁労者は「白い神」に選ばれたことを光栄にしている。大金も手に入るのだ。
バイキング・クイーンは美少女に指導者を付けてストックホルムの近くの全寮制の私立学校に入れて勉学を始め、戦闘のプロに育て上げるのだ。
指導者は活躍して年を取り引退した小隊長が当たる。
バイキングの末裔たちは例え千年の時を経てもあの時代の恐怖の侵略者。
殺戮に狂う残忍な血統を遺伝子として持ち続けていた。
その中ですぐれた闘志と運動能力。何よりも美貌の少女に徹底した教育で半ば洗脳してしまう。
そうして三年から五年で一人前の小隊長が誕生するのだ。
ここにスウェーデン人のエマ・ドロシー(二十才)の手記を見てみよう。

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七月一日
秘密警察所内基地から兵士十五名を引率。
イエメン国境の哨戒に当たる。ここらにイスラム過激派の出没があり秘密警察より出動依頼あり。
七月二日
テロ組織と戦闘。敵、ジープ二台にライトバン一台テロ兵士十二名。当方のロケット砲により敵車両を大破。
敵兵十名射殺。二名捕獲に成功。若き兵士なり。我が方の戦死二名。
イタリア人とトルコ人。砂漠に埋葬。我が兵士は戦闘に慣れて来たのが喜ばしい。
わたしの訓練の成果が出てきたのが判ってますますやる気になった。
七月三日
基地に帰還。兵士に休養を与え、捕獲した二名をジャスミン長官の部屋に連行する。
長官の命により捕獲者一号を長官が尋問。捕獲者二号をわたしが尋問と決定。
すぐさま、三階の拷問室に連行する。
捕獲者一号はジャスミン長官に渡してきた。
拷問室十二号室に捕獲者を入れ鉄椅子に拘束し、兵舎に連絡して以前から目を付けておいたフランス人のジャン・ポールを一階の小隊長事務室に呼び付ける。
捕獲者の拷問をジャンに見せつけわたしの恐怖を教え込むつもりである。
彼を私兵としてわたしの意のままにするつもりでいたので幸いに良い獲物を入手できて良かった。
十八時。事務所に呼んだジャンにテロの兵士の拷問の助手を命じた。
日ごろから特に厳しく接しておいたのでジャンはびくびくしているのが楽しかった。
拷問と聞いただけで顔色が変わるのが見えた。小心の男。しかし、彼は可愛い。小顔のハンサムなスマートな奴だ。
どうして彼のように外人部隊が似合わない者が入隊したのか秘かに調査したところ、ジャンはローマで美容室に勤務していたとある。
その時に、来客の女性に誘われて肉体関係を持った。
その女性の亭主がマフィアの幹部だったからローマに居られず、友人の伝手を頼りにここの外人部隊に入隊したそうだ。
マフィアもここまで追っては来ない。しかし、彼はヨーロッパには戻れない。
マフィアは執念深い。
女房を寝とられたら相手を必ず殺すのだ。でないと、組織に笑われて居れなくなる。
小心者のジャンみたいのが私兵にはいいのだ。調教して征服者になるつもりだ。
彼を責める。捕獲者の次に彼を拷問するつもり。
そして、そのあと、私室に連れていき、辱しめて犯してやる。
七月五日
捕獲者衰弱死。
フランス人ジャン・ポールを私兵とする許可を長官に申告。許可を得る。
とりあえずは兵舎に置くがいずれこちらの事務所関係の任務に付ける予定。
その間は戦闘には参加させないほうがいい。これは長官の指示でもある。
長官もジャンがお気に召した模様。いずれ、長官のすごい調教を受けるだろうと推測する。
他の小隊長にはジャンは譲らないがあのお方は特別なんだから仕方がない。
美しさにも強さにも残酷においても適わないお方だから。
ただ、ジャンを壊されないかと不安なある。
七月六日……
ここで七月三日の夜から四日の記録がないのでエマ・ドロシーと仲の良いハンガリー人の小隊長であるアニタ・マーヤに詳細を聞いた。
アニタはエマが拷問室に捕獲者を連れ込むとマジックミラー越しに一部始終を見物するのだ。
互いに二人は見せ合って技を競っている友人である。
以降、アニタの語った一部始終を話そう。ジャンの体験として。
秘密警察の奥まったところに外人部隊の事務所がある。
通常はそこに「白い神」の小隊長が執務している。
事務所の奥には長官室があり、ジャスミン長官が執務しておられる。
兵舎は広大な敷地の外れにある。兵士たちの寝起きする部屋や食堂。娯楽室。武器庫。そして、広場は調練の時に重装備で駆けたり、射撃訓練などをする。
ドバイの外人部隊の予算は潤沢にあるので贅沢だ。二階建の立派な建物である。
朝からの調練で疲れた身体を休ませていたジャンは電話で事務所に呼びつけられた。
来る前に兵舎の総官に三日間の休暇を申告しておくように言われた。ジャンの属する小隊長の命令だった。
エマ・ドロシーという小隊長は若い美人だ。二十才と聞いている。
赤い髪を後ろで一纒めに括って颯爽と闊歩する。背が高い。
ジャンは百八十を少し切れるのだが小隊長は自分より少し高いと思う。
青い瞳は夢見るようにうつくしいがやることは荒っぽい。
走連のとき装備の重さにへこたれてグループの最後をのろのろ走っていると、エマ小隊長に往復のビンタを喰らったことがある。
恐ろしく強烈な平手打ちだった。頭がぼうとなったほどだ。
「ジャン・ポール。わたしが鍛えあげるわ」
そう言ってにこりとしたのが印象に残っていた。
その厳しい上官から拷問の助手をするよう言われてどきっとした。
何故かというと、拷問という言葉が目の前の若い美女から発せられたので驚いたのだ。胸が騒いだのだった。
第一分隊が哨戒に出てテロ軍団と戦闘になり二名の戦死が出たのは聞いている。
捕虜のことは知らなかった。
箝口令が敷かれたのだろう。イスラムのテロ組織の事に関しては極秘の扱いなのだ。
そんな極秘の捕慮の拷問の助手をやれと言われて戸惑っていると
「命令よ。ジャン」
怖い目で睨まれた。それから小隊長は付いてくるよう言って先に歩く。
一階から長い廊下を付いて歩いた。
エマ小隊長の張り詰めたヒップが歩くともりもり動くのが悩ましくて目が吸いつけられる。
実はジャンはローマの美容室で働いていたとき、その店のマダムに何度も顔面騎乗で犯されていたので、エマ小隊長の豊満なヒップを見るとエキサイトすると同時に呼吸困難の恐怖も思いだすのだった。
奥のエレベーターに並んで乗った。
やはり、ジャンより上背がある。迷彩服の軍服だが肉体のたくましさは窺えた。
三階の十二号室がエマ小隊長の専用の拷問室だ。部屋の鍵も彼女の暗証番号しか開かない。
「拷問室は全部で十五部屋ある。ここが、わたしの部屋」
入口で彼女は教えてくれた。
「ここに入った男は生きて出られないのよ。どうする?」
暗証番号を操作しながら横目で見た。
「えっ! そんな……」
「フフフ。おまえは別よ。わたしの部下だから、殺しはしない」
青い瞳に見つめられるとくらくらしてくる。
部屋に入るとアラブの若者がスチールの机の向こうの鉄の椅子に後ろ手錠と足枷を嵌められてぐったりしていた……。
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