管理者の視線〈第2回〉余裕

相手の言葉にただ唯々諾々と従うだけの会話を続けながら、
私は自分がまた相手を支配する関係になることを予想していました。
経験だけは色々と豊富だったこともあり、S側に従ったふりをしながら、
実際には自分がやってほしいことしてもらう。
そんな関係性を多くの人と築いてきたのです。
ですが、それではやはり本質的な部分での欲求不満の解消にはならず、
そのせいで関係を終わらせた人が数多くいました。

今回もそのパターンになるのかななどと思いつつ、
相手との駆け引きは続いていきます。
SMとか主従というものはやはり恋愛と同じで駆け引きになってしまいます。
所詮は人と人とのつながりです。
そんな風にどこか諦めている部分もあった私は、相手に
「絶対服従」
などという言葉を使いながら、そんなことはあり得ないとも思っていました。
今思えば、こんなふざけた考えをもすべてを凌駕して支配されたい
というのが私の本当の欲求だったのかもしれません。
相手は会話をしながら仕事に入ってしまいました。
そこからのLINEは途切れ途切れ。
こちらが10話したのに対し、1返ってくるかどうかという感じです。
私は精神的に満たされないこととの間に苛立ちを覚え始めましたが、
まだまだ相手を見定めたいという思いもどこかにあり、
家事をしながら相手の反応を待ちました。
少ない言葉から読み取れるのは相手の甘さ。
しかも相手の要求は
「最初だから」
という理由で簡単なものばかりでした。
正直今までやってきたSMとは全然違うほど軽いものばかりです。
相手が私のことを本当に必要と思ってくれているのかすら怪しいな
と感じてきましたが、もう一回チャットの部屋を作るのも面倒だったので、
私はこの人にしばらくは従ってみるかと思っていました。
このとき私が出した要求があります。
それは時間割を作ってほしいというもの。
私の生活を管理するのだから、できれば1分単位の時間割のようなもので、
完全に拘束されたかったのです。
相手はこの要求をのんでくれました。
この時間割が出来上がった時に、
関係をどうするか考えてもいいかなと思っていました。
相手の甘さが全面的に見える会話だったので、
私はただ従ったフリしかするつもりもありませんでしたし、
たぶんこの関係は見せかけだけで終わるような予感がしていました。
私の求めるSMはすごく極端で、
相手に本当に命まですべてを預けるというものです。
だからこそ、中途半端な気持ちでやられるのなら、ない方がマシでした。
もし、そのせいで自分の精神的な不安定さが前面に出たとしてもです。
もう投げやりな気持ちにもなっていたので、
相手に期待なんてしても意味がないと自分に言い聞かせようと思いました。
どうせ納得のいく関係性になれる人なんていない。
自分を完全に服従させて上から押さえつけ、さらに言えば、
そのまま私の生活をしっかり管理して精神的にも安定させてくれる……。
どう考えてもそんなのは無理です。
だったら、ただの遊びだと割り切って、
相手のいうことの聞ける部分だけ聞けばいいやと。
もちろんこんな薄っぺらい関係なら、すぐに終わりがくるでしょう。
でも、求めれば求めるほどこちらが苦しくなるような関係なら、
持たないほうがいい。
ただ負担を与えられるのなら、自分で自分を追い込んでしまったほうがいい。
そのくらい私はこの人のことを軽く見ていましたし、
相手の言うことを聞く気もほとんどありませんでした。
相手は返信も全然返してくれなくなり、
こちらももう連絡をとれるタイムリミットだったので、
「この後はもう連絡をするのが難しいです。
夜中に夫が寝たらまた連絡します」
とだけ伝えて、連絡をやめました。
無駄な時間を使ってしまったかもしれない……。
私は逆に疲れてしまっていました。
ですが、次の日相手と初めて電話をすることになり、
私の認識が全くの見当違いだったことに気が付いたのです。



美穂・・・自分のM性に気付いてから主を探している。今までなかなか理想的な主と出会えずにきた。今は普通の主婦で、自分を完全に支配してくれる主を望んでいる。

このサイトは成人向けの情報を含みますので、18歳未満の方の閲覧を固くお断りいたします。

あなたは18歳以上ですか?