困惑日記 【第7回】 鞭への恐れ

根っからのMがSに変わることはあるのだろうか?
私が昔はすごいMだったと聞いたことがある女王様が1人だけいるけれど、
それ以外の人は「Mなんて絶対にできない!」という人ばかりだ。
私の側からしてみると、こんなにすべてのことに気を回さなければいけないS側の方が大変だと思う。
Mを知っているからこそSが出来るというのはありそうな話だけれど、それが私に当てはまるかどうかはわからない。

奴隷希望者KとTを抱えた私の日常には特に変化はない。
ただ、少しずつだけれど女王様が持っているスキルを磨かなければという思いに駆られて、練習を始めてみたりはしている。
何の練習かといえば、鞭だ。
これまで幾度となく受けてきた鞭。
遊びで感触を試すために握ってみたり、少し振ってみたことはあるけれど、実際に本当に人に向けて振ったことはなかった。
これを振る日がいつか来るのかもしれない。
それは複雑な心境だった。
とりあえず女王様になったとしても、何から始めたらいいのかわからないのなら、形から入ってみても良いかもしれないと思った。
それくらいの気持ちだったけれど、振ってみると色々とわかることがあった。
どこに当てるのかというのも大切だし、強さもただ強く打つだけではいけない。
鞭を待っているときの自分を思い出す。
大抵は目を合わせない状態で受ける鞭だからこそ、相手との空気感が大切になる。
痛みを与えるためのものだけれど、決して相手を壊すためのものではない。
私にとって鞭は、自分の心の氷を溶かしてくれる重要なものだ。
だからこそ、相手に振るうときにはきちんとした気持ちでないといけないと思う。
お店の開店前、椅子に向かって鞭を振り下ろす。
バシッという乾いた音。
自分がビクッとしてしまう。
正直怖さが先に立った。
これを人に当てるのかと思うと、やはりここでも覚悟や責任を感じた。
Sはすごい。
面白半分でKに「今度お店で鞭の練習台になってよ」とメールしてみたら、「是非お願いします」と返事が来た。
少し後悔した。でも、いつか相手に振るうかもしれない可能性がどんどん高まってきているのだから、練習をしなければとも思った。
相手の体を傷つける行為。
それによって解き放たれる心。
鞭がつなげてくれる感情。
Mとしてそれらを感じてきたからこそ、相手にもそれを伝えたいと思う。
愛を伝えられる鞭はどんなものなんだろう? 
練習をしながらそんなことを考えていたけれど答えはでない。
とりあえず相手の変な場所に当てて無意味な傷をつくるのだけは避けたい。
Kに鞭を振るうことはあるのだろうか? 
Tは体に痕が残るようなことはできないから、可能性はゼロに近い。
もしKに鞭を振るったとき、私は何を感じるのだろうか? 
怖くはないか。
相手を受け止めきれるだろうか。
相手を見極めきれるだろうか。
困惑と不安は続いている……。

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弥生・・・小さい頃からMの自覚を持って育つ。大学生の頃からハプニングバーで働き始め、今も仕事をしながらバイトをしている。プライベートも含め根っからのMだが、最近M男性からSっぽい面を求められ、方向性が揺らぎ始めている。S転して、女王様になる日も近い!?。

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