会えなかった人達…… (その16の続きです)
自分の願望を伝えられたはず……。そういう感触がむこうにもあったのでしょうか、
「すぐにでも撮影をやりたい」旨のメールを、彼女は送ってきました。
明日ですか、明後日ですか? ともすれば、そんな勢いすらあったものですから、
「一度お会いして、ゆっくりお話してからでも、いいのではないですか?」
(気持ちが変わることだって、あるかもしれないのですし)
すると、「わたしの写真を送ります」とメールがあり、
「洋服を着ていていいのですよ」と返事をしたのに、
薄いシミーズのようなものを着ている、写真が送られてきました。
そうして、彼女から次々に写真が送られてきました。
ちがう写真が何枚も、何十枚も。
さて。
結論からいうと、題名のとおり、彼女とは会えませんでした。
いろいろ紆余曲折はあったのですが、
実際、待ち合わせ場所と時間を決めて、会う手はずは整っていたのです。
でも、彼女には会うことができませんでした。
待ち合わせの場所に、彼女はやってきませんでした。
この話は、これでおしまいです。おしまいですが、最後にもひとつだけ。
同僚の編集者に「ほんとうは男性だったのじゃないか」
と言われたものですから、ちょっと考えてみたのです。
今回の場合、彼女は明らかに女性だったのですが、
仮に男性だったとしても、ぜんぜん構いません。
男性だとか女性だとか、そんなことは些細なことでしかありません。
例えば、女性を装った男性からコンタクトがあったと、仮定してみます。
仮にそうだったとしても、
その彼が、女性に扮して何かを訴え、
思いを伝えずにはおられなかったその心情に、
私は共感を覚えます。私はそういう立場でオムツを見ています。
オムツマニアというものは、きれいごとだけじゃない。
誰にでも、心の奥底にドロドロとしたものが潜んでいると思うのです。
とは言うものの、
実にアッケラカンとしている人も、いるんですけどねー。(続く)
文責 丘崎太郎