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あるシナリオ作家のおピンクな日々 第4回 【オススメのピンク映画 その1】 

ピンク映画のシナリオライターをしている鎌田一利氏による書き下ろしピンク・コラム。


今回は、私がおすすめしたいピンク映画をいくつか紹介したいと思います。
と、言ってもピンク映画は約1週間の劇場公開が終わると、
次に鑑賞できる機会はいつになるか分からないし、
新版と言ってタイトルを改題して公開をされてしまうこともあります。

なので一度見逃すと、次にいつ見る機会が訪れるか分からない事も多いので、
今回はDVD化されていたり、DVDの発売が決定している、
鑑賞しやすいピンク映画作品を選びました。
最初は2009年度のピンク大賞第一位を受賞した池島ゆたか監督作品、
「性愛婦人 淫夢にまみれて」
です。
本作品はピンク映画ですが、ミステリーというか、サスペンスというか、
最初は見ていて、ドラマの先が見えないシュールなドラマ。
主人公の女性が病んでいるのか? それとも旦那が病んでいるのか?
と奇妙な夫婦関係を見せていきながら、旦那の弟や近くの病院の看護師が登場して、
何となくドラマの背景が見えて、
ラストは悲劇にも近い衝撃的な謎があかされるという物語。
ピンク映画ですからもちろんエロ場面は重要です。
ですがあくまで映画ですから、ドラマ部分も大切なのです。
ピンクと映画の部分がうまくミックスしてこそ、ピンク映画の面白みが味わえますが、
この映画は見事にそのふたつが融合している傑作です。
圧巻は主役を演じた竹下ななさんの素晴らしさ。
彼女ピンク映画は2本目ですが、この作品で初主役を演じ、
その辺りのアイドルがテレビドラマで演技するより何倍も存在感がある人物像を作り上げました。
自分が亡き姉の代わりをつとめて、密かに想っていた義兄の愛情を受け止める。
その切ない女心を潤った瞳で表現していて感動的です。
またセックスシーンも艶めかしく。特にラストで見せる潮吹きの場面は、
義兄への愛情の深さを表現するような感じで、私はグッと感動しました。
でも重苦しさだけでは見ていて息が詰まりますから、ホッとするような部分も必要です。
この作品では琥珀うたさんがその役割を担っていて、コメディリリーフ的な役割で、
交通事故にあった主人公の義理の弟とベッドの上でセックスする場面は見ていて楽しく、
良い具合でクッション的なシーンになっています。
映画の中のテンポの緩急が計算されつくした、秀逸なシナリオ構成だと思いました。
2作品目は古い作品になりますが、小川欽也監督
「生首情痴事件」
です。
この映画は製作されたのが1967年。
そしてこの映画はパートカラーという方式をとっています。
パートカラーというのは簡単にいうとエッチな場面になるとカラーになる方式のものです。
当時はまだ白黒で現像するのが安いため、
予算の少ないピンク映画でオールカラー(総天然色)作品は少なかったのです。
ですが世の中は少しずつカラー映画が増えてきました。
そんな中、考え出されたのがパートカラー。
一部分だけカラーフィルムを使用するから、予算も少なくて済むし、
逆にエッチ場面だけがカラーになるので、
わぁ。これからどんなエッチなシーンが展開するのか、
ドキドキする味わい深い点もあるんです。
それでこの映画。猟奇的な面もある怪談映画。そうホラー映画なのです。
お話はもうオーソドックスで妻の遺産目当てに夫が愛人と共謀して妻を殺害し、
列車へ飛び込み自殺とみせかけるのだけど……首だけが遺体で残らず……。
もうお分かりでしょうが、その首が裏切った夫や愛人。
更には新たに遺産を奪おうとする悪徳医師達を呪っていくというストーリーです。
低予算とはいえ合成シーンもあり、それなりに特撮を使用した感があります。
スタッフにはあの円谷プロの関係者もいたそうですから、
まずまずの出来にはなったのも頷けます。
が、何と言っても白黒とカラーが混ぜ合わさった映像が、
不思議とドロドロした昔ながらの怪談タッチで進展していき、大変面白いピンク映画です。
私のお勧めの場面は不動産の契約書に判を押そうとする夫と愛人が、
うまく朱肉が付かなかったりして押せず、ついにはその契約書がタバコの火で燃えて、
宙に舞いあがり、愛人の顔に当たり、火傷を負わせる場面。
女性の顔が焼け爛れるというおぞましいシーンです。
ホラー映画ならではですが、如何に怖がらせようかと工夫された一場面でありました。
ただ、ハッキリと醜悪さを見せるわけではないので、
今のような特殊メイクが発達していれば、もっとゾッとできたのではないか、と思います。
小川監督は次に「怪談バラバラ幽霊」という作品も撮っています。
こちらも同じく遺産を狙って相続者の女性を殺害するのですが、
何と死体をバラバラに切断してしまい。
そのバラバラになった手足や首等の肉体が父殺した人間へ復讐する物語です。
前作では首だけだったのが、今回は全身にパワーアップしたわけです。
こちらはバラバラになった手足が、女のすすり泣きと共に現れる場面は、
チープながらも白黒画面と相まって怖さを引き立たせています。
ちなみに監督の小川欽也さんはピンク映画初期からの監督で、
現在でも年に1作品は監督している最長老の現役監督です。
監督としての作品は数百本にも及び、
ご自身でも何作品監督したのか分からないというような方です。
以前にも書きましたが、今のピンク映画は撮影が3日間。
最盛期でも1週間程度で撮影していたので、人気監督は月に何本も撮るから、
本数は稼げたのですね。今ではとうてい実現不可な本数でしょうか……。
では、今回はここまで。
次回も引き続き、おすすめピンク映画をご紹介します。
 


 
筆者○鎌田一利
高校2年の時、日本映画史に残る大名匠・木下恵介監督が講演会にて私のファンレターを読みあげ「熊本の少年に幸あれ!」と仰ってくださるも、何処で道を違えたか、ピンク映画、B級SFホラー映画(特にメキシコ&スペイン物)、古い邦画(特に大映時代劇)をこよなく愛し、好きが高じて、星野スミレ名義で加藤義一監督「主婦マル秘不倫後ろから出して」(2012 年9月28日公開)というピンク映画でシナリオ作家デビュー。
2013年春には鎌田一利名義で書いた第2作目(加藤義一監督:不倫OL びんかん濡れ白書)が劇場公開!
ピンク映画界の巨匠、池島ゆたか監督より「キネマ怪人」、清水大敬監督から「鎌田金太郎」、加藤義一監督には「しょ~もない映画評論家」という肩書きを頂いた駆け出しのシナリオ作家です。