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私に厳しい命令とお仕置きをくれる男性をずっと求めていました。後編

お仕置きマゾのピアノ教師の告白 ※本誌付録DVD収録 告白 有馬早智子(仮名)

お尻叩きと初潮
大人に叱られるということは恥ずかしいこと、両親や先生に心配をかける悪いことだと思っていました。
それなのに、叱られた妹と父のあいだには、私の知らない温かいものがありました。妹のように、私も父に許されて、抱きしめてもらいたいと思いましたが、いつもいい子の私には起こり得ないことでした。
それなら、せめて父から罰を受けていたときの妹の気持ちが知りたい……。私も妹のように嗚咽をこらえ、痛みをこらえ、最後に泣き出して、そして抱きとめてもらいたい……。
家に誰もいないときを狙って、あの日父が座っていたソファにクッションを置き、その上にうつ伏せになりました。父の太ももに乗せられていると想像して、目を閉じ……スカートをめくって自分の手でお尻を打ちました。
十回打ちましたが、泣くほど痛くはなりません。失望し、淋しく空しい気持ちでいっぱいになり、パンツの上からお尻をなでまわしてみました。
それから私は、なぜか指をパンツの中に入れたのです。最初はヒップ側に、それから前に。
その瞬間、パンツの中に違和感を感じて、そっとパンツを下ろすと小さな赤いシミがついていました。考えてみると、その日は朝からお腹がシクシクしていたのです。
初めての生理でした。四年生になって間もなく、私は母の身長を追い越していたので、
「さっちゃんは大人になるのが早いかも知れないから、お守りのつもりで持っていてね」
と、母が可愛いポーチに入れて渡してくれたサニタリーショーツとナプキンを引き出しから出しました。血のついたパンツはこっそり洗面所で洗って、自分の部屋のクローゼットの中に干しました。
自分のお尻を叩いたことと、生理がはじまったこと――。偶然の一致だけれど、一日に二つの秘密ができ、急に大人になった気がしました。
誇らしいような、でも孤独な気持ちもありました。お尻を叩かれたいと思うなんて、誰にも知られたくない恥ずかしい秘密だと思ったからです。
私は中学でも高校でも、男の子と付き合うことはありませんでした。中学一年生で一七〇センチあり、身長が高すぎて、男子から「デカ女」と呼ばれることがコンプレックスになっていました。女子から慕われることもありましたが、お姉さんとして甘えてきたり、憧れられることに苦痛さえ感じていました。
強くて大きな女と思われている自分が、男性にお仕置き願望を打ち明けるようなことは、一生ないんだろうな……とますます男子を避けるようになっていきました。

折檻オナニー
それでも、音大のピアノ科に合格して東京で一人暮らしをすることになると、彼氏ができました。やさしい男の子で、コンプレックスだらけの私に、
「そんな控えめなところが大好きだよ」
と言ってくれたのです。キスしたり、お互いの家に泊まったり……いろいろな“初めて”を重ねるうちに、あれほどお仕置きにあこがれたことは忘れていきました。
私は子どもだった、幼かったんだ。現実の男性に愛されることを知らなかったから、叩かれたいなんて思ったけど、今は普通になったんだ……そう思うと気が楽になりました。

※この続きは、『マニア倶楽部2020年5月号』をご覧ください