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『日本の風俗嬢』
すっかり季節は秋。秋分の日を過ぎ、日が短くなっていくのは少し切なく感じる今日この頃。
私の周囲には、寒いほうが我慢できるという方が多いけれど、私は日の長い夏の夜をふらふらするのが好きだ。
さて、二日に一度薬をもらいながら、プチ引きこもりな生活を送っている。でもただぼーっと寝たり起きたりを繰り返しているわけではない。
「読書の秋」というように、雑誌から小説、新聞までやたらと活字に接している。
そんな時、書店のベストセラーに並んでいて目に留まったのが『日本の風俗嬢 (新潮新書 581)』である。
日本の風俗について広く網羅したもので、日本の風俗業界の今、そして今後の予測について述べられている。
ベストセラーのコーナーに並ぶくらいなので、既に読者の中にも読まれたかたがいらっしゃるかもしれない。
そこにはSMクラブについても若干述べられている。
新風営法の改定と共に、ルームを持つことを禁じられ、新たな人材の育成が厳しくなり、衰退の一途をたどっている、というような内容が記されている。
私がこのSM業界に入った当初、大先輩たちが口々におっしゃっていたのは、
「SM嬢と風俗嬢は違う」
ということだった。
何度も繰り返し聞いたものだ。
他の風俗に勤めたことのない私にはなんだかピンとこない話だが、
つまりは肉体だけの繋がりだけではなく、SMには高い精神世界でのコミュニケーション力が求められるのだと解釈している。
「バカはSMをする資格はない」
と断言する先輩もいた。
たしかに業界に入った頃は、まだルームが存在し、ギャラリーとして他の方々のプレイを勉強させていただいていた。
また、以前勤めていたSMクラブではM女の講習もさせていただいていた。
照れくさいところはあったが、内容が内容だけにコミュニケーション力や、身の安全の守り方など教えてきたつもりである。
「M女ができたら、他のどんな職業に就いても第一線でいける」
というのは、私が尊敬する大先輩の言葉である。
当時新聞もチェックしていなかった私は毎回お叱りを受けたものだ。
しかしだからこそ今の私があると思い、その先輩は永遠に心の師匠と言える。
著書の中で筆者も述べているが、今では無店舗型、箱ものでも一工夫凝らしたマニアに特化したお店が増えている為、
SMクラブはますます苦境に立たされている。
かつてSM嬢と風俗嬢は違う、という考えも今やいささか古すぎるのかもしれない。
しかし私は今でもそこには明らかな違いがあると思うのである。
M女として、鞭を打つ人の心の声、とことんSM世界を極めたい。
例えば縄という一つのツールによっていかにお互いの心を読み取り、精神的に繋がっていくか。
そんな人々が存在する限り、SMは存在し続けるであろう。
著書には他業種についても様々な角度から風俗というものについて述べられているので、興味のある方は是非手にとってみていただきたい。
そして、風俗とは何か、そしてその中でSMのあり方について、改めて考えていただけたらと思う。
ほずみ
以前、池袋のSM倶楽部に在籍していた女性。
記事中にもあるが、現在は投薬治療中。