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SMカルテ通信 vol8 番外編  【蝋人形の館 バルセロナ滞在記】

前回と同様に、ROYさんから送ってもらった旅レポです。メールによると、
『普通の観光のつもりでいきましたが思いのほかエロ目線でいろんなものをみてしまいました』とのことです。

カタルーニャ広場から海へ向かって、ランブラス通を南下していくと、左手に宝くじ売り場のような小さな小屋が目にはいる。

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屋根の上には、「MUSEU DE CERA WAX MUSEUM」という看板があるところをみると、どこかのミュージアムのチケット売り場なのだろう。けれど、肝心のミュージアムが見当たらない。周辺を見渡すと、少しはなれた場所に「MUSEU DE CERA」という文字が掲げられた、狭い路地が見つかった。

入口から覗きこむと、なんだか少しものものしい雰囲気がある。

行ったことはないが話を聞いたことのある、今はなき東京タワーの蝋人形館の、おどろおどろしいイメージが脳裏に先行した。そして、せっかくバルセロナまできたのだから、と、怖いもの見たさで入ってみることにした。

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グロゴア映画が大好きな私だが、実のところ、「人形」はとても苦手だ。人と同じ形をしていながら、命がない、器だけのの存在。けれど、「人」と同じ形をしているということで、怖い話の登場人物としての定番になっている「人形」。オカルト話が苦手な私にとって、蝋人形というリアルな存在は、恐怖の対象でしかなかった。

それでも他国へ来たという高揚感と好奇心が勝り、その「MUSEU DE CERA WAX MUSEUM」に足を踏み入れた。

館は西洋の古い館そのものだった。

様々な時代の偉人たちが、国も宗教も関係なく勢揃いして音楽を鑑賞していたり、歴代の大統領や独裁者たちが、壇上で演説をしていた。また教会で何かの祭礼が行われていたり、世界史の教科書に出てくるような人物が、あちらこちらで己の存在をアピールしていた。

そんな雰囲気を味わいつつ、進むと順路は次第に薄暗くなっていった。

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重厚なドアがあった。そのドア開き先へ進むと、そこは宇宙船の内部で、スターウォーズのキャラクターが出迎えてくれた。さらに進むとエレベータが現れ、乗り込んでボタンを押すと、突然アナウンスが流れ、エレベータは指定の階で止まることなくどんどんと下っていき、やっと止まったと思ったそこは、深海の世界だった。

地球の外部や内部へ誘われ、その世界を楽しんだあと、突然、目の前に銀行強盗の現場が現れた。

頭から血を流して床に倒れる男性。

猟銃を警備員に向けている男。

札束を麻袋に詰め込んでいる男。

そこには、生々しいシーンが再現されている。

そんなリアルな現実を目の当たりにしたあとは、それまでの冒険譚のような世界とは一線を画した世界が待ち構えていた。

薄暗い館内を進んでいくと、壁には惨たらしい処刑の写真が貼り出されていて、モノクロームの写真であっても、そこ何が写っているかが、はっきりと見てとれた。

無数の細い棒で串刺しされている人物、背を向けてうずくまる人物へ銃の先を向ける男、分厚い石の板を何枚も抱き抱える人物。

実際に見ることの叶わないような凄惨な写真を眺めたあとには、どこかの実験室での人体実験を再現した空間が眼下に広がった。

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研究室とおぼしき部屋の壁一面の薬剤、薬品。白衣にマスクを着用したドクターと、ドクターの目の前のベッドにベルトで拘束された男。

ドクターが側のスイッチに手をかけると、ものものしい音と共に、男の上体が飛び上がった。その姿はまさに、悪魔にとりつかれ、人体実験に身を投じるマッドサイエンティストそのものだった。

さらに先へ進むと独房の椅子に全身をベルトで拘束された男が白目を向いてこちらに顔を向けていたが、その先には、最も、恐ろしい部屋が待ち構えていた。

バスタブのなかでシーツをかけられてぐったりと力尽きている青年。その隣には、スーツを来たまま絞首刑にさらされている男性。

黒服に身を包んだ何者かに喉を絞められる男性。腹部に刀を突き立てる男。火炙りに処される女性の姿は、魔女狩りの再現だろうか。

無残な処刑部屋の中央には、罪人なのか無実の罪なのか、頭部だけが晒し者にされていた。

出口を出ると、時刻は夕方を回っていたが外の世界の光が明日明るく眩しく感じた。

手が触れることのできる、すぐ近くに、写真でも、絵画でもない、蝋人形という形で表現された、リアルなグロゴアの世界。

それを目の当たりにした私は、しばらく興奮が収まらなかった。

蝋人形が怖いという、オカルト的な恐怖はすっかりと消え去り、美しい絵画を鑑賞したときよりもはるかに強い、脳内麻薬が、視神経を通して全身に浸透して行くのを、はっきりと感じた。学生時代に訪れたスミソニアン博物館群で見た、ホロコースト博物館の時のような恐怖とは違う、グロゴア映画を鑑賞した興奮が……。



●プロフィール
ROY(ろい)嬢 25歳。
都内のSMクラブに在籍している、脳ミソ快楽主義のマニア系M女。
自分の中にある強いM性をもてあまし、SMクラブの門を叩いたという彼女は、痛みに対して人一倍の感受性をもつ医療マニアでもあるそうです。
縁あってこのブログにて「医療とSM」についてのコラムを書いて頂けることになりました。
「読者の皆さまに、楽しんで頂ければ幸いです」
とのコトです。

またROYさんへのファンレターなど、編集部あてにお送り頂ければ転送しますので、お送り下さいませ。

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