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妄想怪談話【第1話 怪奇アサガオ男】

夏休みが始まってすぐのことだった。

学校の校庭でラジオ体操をやっている時、なぜだか校舎裏に行ってみたくなった。
何か面白いものがあるわけでもないのに、気になって仕方がない。
今考えると予感のようなものだったのだろう。

カードにハンコをもらうと、ぼくは友達からはなれて、
一人で校舎裏に行ってみた。

びっくりした。

そこには保健の先生がすっ裸で倒れていたのだ。
うつぶせでお尻を突き出すようなかっこうをしていた。
目を閉じているので死んでいるのかと思ったが、息はしているようだ。
いったい何があったんだろう?

「ねえ、先生」

近寄って声をかけてみたが返事はない。
ぼくは変なものに気がついた。
先生のお尻の穴から何か生えている。
それはアサガオのふた葉だった。
理科の授業でやったからまちがいない。

アサガオって、こんな所から生えるものなんだろうか?
不思議に思って引っ張ってみる。

根がしっかりしていて抜けない。
先生はぴくりと身動きしただけで目をさまさなかった。
よく見ると葉っぱがしおれかけているようだ。
そばに転がっていたジョウロに水をくんできてかけたら、
元気を取り戻して数センチ伸びた。
 
大人を呼んできた方が良いだろうか。
迷ったが黙っていることにした。

これはすごい発見かもしれないじゃないか。
ぼくだけの秘密にして、毎日観察日記をつけよう。
夏休みの自由研究としては最高だ。

7月29日
 
きょうもぼくは校舎裏へ行った。
先生は相変わらず眠ったようにぴくりとも動かなかった。
アサガオはつるを伸ばしはじめ、
水をかけてやると何かつかまるものを探すようににょろにょろと地面をはった。

7月31日
 
ぼくは水じゃなくておしっこをかけるとアサガオの成長が早くなるのを発見した。
先生のお尻めがけて、立ちションをするのだ。
これは先生よりえらくなったような気がして気分がよかった。
ただし、気をつけないとアサガオのつるにからみつかれてしまう危険があった。

8月2日
 
つるは今やお尻だけじゃなくマンコからも伸びてきて、
しだいにからまりあってかたまりのようになっていった。
やがて、その左右に腕のようなものが、上部には頭のようなものが出来ていった。
それは人間の上半身のように見えない事もなかった。
ぼくは観察日記に「アサガオ男」と書き加えた。

8月7日 
 
アサガオ男は数日前は赤ん坊くらいの大きさだったのに、
今日はぼくより少し小さいくらいの背丈に成長していた。
顔の部分には目と口のような形がはっきりとではないが出来ていた。
ひょろひょろしているが足も形になってきた。
根元の部分、つまり先生のお尻の穴とマンコから出てすぐのあたりは
オチンチンのようだった。
そう、アサガオ男にはオチンチンが二つあるのだ。
その部分は他より太くて、かちかちに固かった。

8月10日
 
アサガオ男の身長はぼくより大きくなった。
少しずつだがからだを動かすことも出来るようになったようだ。
はじめは風に吹かれてそう見えるだけかと思ったのだが、
どうやら違うらしい。
手をのばしたら、握手するように握り返してきたのだ。

8月15日
 
ぼくがジョウロを持って校舎裏に行くと、
大人くらいの大きさに成長したアサガオ男が、
先生の腰を両手でがっしりとつかんで、腰を前後に大きく動かしていた。
オチンチンの部分がお尻の穴にずぶずぶと出たり入ったりしていた。
こんなことは初めてなのでびっくりして見ていると、
アサガオ男がこっちに顔を向けた。
その顔はニタニタ笑っているようだった。

妖怪2-1

8月16日 
 
朝、校舎裏へ行ったらアサガオ男はいなくなっていた。
先生は同じ姿勢でお尻を突き出していたが、どうやら死んでいるようだ。
ハエがぶんぶん飛んでいた。
お尻の穴はぽっかりと大きく開いたままで、
そこからぬるぬるした液体がぽたぽた垂れて水たまりが出来ていた。
水たまりは点々と校庭のほうへ続いていて、
ぼくは跡を追ったがそれは次第に小さくなり、ついに消えてしまった。
 
アサガオ男は先生から離れてどこへ行ってしまったんだろう。
新たな獲物をもとめてどこかに潜んでいるのだろうか。


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