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屈辱の家庭訪問 第5話(最終話)

妙子は全裸のまま庭でうずくまり、呆然としていた。
まともにものを考えることが出来ない。
教え子に身体をオモチャにされ、排泄まで観察されるとは…。

「じゃあ、先生、帰っていいぜ」

猛の声でハッとした。
そう言えば

「あと一つ言うことを聞いたら帰っていい」

と言っていた。
やっと悪夢が終わるのか。
本当にこのまま帰してくれるのか。
だが、猛や他の少年達のニヤニヤ笑いが、わずかな期待を打ち砕いた。
まだ私をいじめるの…?

「帰っていいけどよう、その前に記念の寄せ書きだ」

何を言っているのかわからなかった。
少年達は妙子を無理矢理立たせ、取り囲んだ。
その手には書道用の太い筆が握られている。

「じっとしてろよ」

墨汁をたっぷり含んだ筆が彼女の肌に押し当てられた。
冷たさに思わず身をよじる。
みるみる彼女の体はみみずののたくったような字で埋められていった。
背中には大きく学校名と
「6年2組たんにん山下たえ子先生♡」
腹には
「ヘンタイ」
そして腕や桃には
「ペチャパイ」「けつまる出し」「ションベンたれ」
等々、いかにも子どもじみた下品な言葉だった。
書くたびに爆笑が起こった。
仕上げに、湯気をあげる大便のマンガが尻に描かれた。

「おお、ゲイジュツ的だな」

「写真撮って飾っとこうかな」

早速、落書きだらけの妙子を中心にして記念写真が撮られた。

「はいチーズ!」

少年達はそろってピースサインを出した。

「せっかくだから、このまま帰れよ」

猛が言った。
妙子は耳を疑った。
裸のまま帰れということか。
そんなことできるわけがない。
恥ずかしさより恐怖を感じた。
黒川に校舎の中をストリーキングさせられたことはあるが、
あの時より危険なのではないか。
だが、少年達はおかまいなしだった。

「そうだな、そのままコート着ると汚れちゃうし」

「みんなで送ってってやるよ。な、先生」

少年達は妙子を玄関から外に引きずり出しにかかった。
しゃがみこんで抵抗したが、5人がかりでは太刀打ち出来なかった。
背後でドアがバタンと閉まった。
思わず叫び声をあげそうになる。
耳元で次郎の囁く声がした。

「声を出すと近所に聞こえちゃうよ。
ここでじたばたするより、
大人しく歩いた方が人に見つかる可能性は低くなるんじゃないかな」
冷静に言う。

「先生のコートは僕が持ってやるよ。人が来たらすぐ着せてあげる」

頷くしかない。
のろのろと立ち上がる。
胸と下腹部を手で覆い、前屈みになって歩きだした。
生きた心地がしない。
背中には彼女の名前まで書いてあるのだ。
こんな姿を見られたら生きて行かれない。
アパートまであとどの位あるのだろう。
突然、尻をぴしゃりと叩かれた。

「もっと姿勢良く」

体育教師の真似だろうか、全員が笑った。

家庭訪問5

幸いにも通行人に出くわす事もなく、夕暮れの迫る住宅街を歩き続けた。
妙子には永遠にも感じられたが、実際にはほんの数分のことだった。
左手に駐車場が見える、
次の角を曲がって100メートルほど行けば彼女のアパートだ。
このままなら誰にも気づかれずに帰れるのではないか…。
だが、甘かった。四つ角に差しかかった時、
右から歩いてきたサラリーマン風の男と出くわしたのだ。

「!」

小さく悲鳴を上げ、慌ててしゃがみ込む妙子。
男は驚いた様子で、目を丸く見開いた。

「すいません、これ、ぼくらの先生なんだけど、ヘンタイなんですよ」

猛がへらへらしながら言う。

「ちょっと目を離すとハダカで外に出ちゃうんです」

「妙子先生っていうんですよ。ここに書いてあるでしょう?」

清が妙子の背中を指差した。
男は食い入るように妙子の裸体を見つめていた。

「へえ…6年2組担任、山下妙子先生…か」

ぼそぼそとした声が彼女の名前を読み上げた。

「ほら、行くよ。すいませんね、じゃあ」

少年達は妙子を引きずるようにしてその場を後にした。
男は呆然と突っ立ったまま見送った。
 
ようやく開放された妙子は、
からだの落書きもそのままアパートの自室にへたり込んでいた。
今日一日の事が脳裏を駆け巡る。
目を閉じると、自分を指差して笑い転げる猛達の姿が浮かんでは消えた。
それに、帰り道で出くわした見知らぬ男。
あの男には名前を知られてしまったのではなかったか。
妙子は震える自分の身体を抱きしめた。
いすれ、あの男が自分の前に現れるような気がした。

(終)


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