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あるシナリオ作家のおピンクな日々 第8回 【ピンク映画ファンのこと】

ピンク映画のシナリオライターをしている鎌田一利氏による書き下ろしピンク・コラム。


シナリオライターをしていると、ピンク映画のファンって、どういう人たちなんですか?
と聞かれることがあります。

言わずもがな、ピンク映画は基本的に本番行為はありません。
すべて疑似ですので、ペニス等もその手のオモチャで代用して使用します。
それに挿入部分も直接見せることはありません。あくまで挿入しているように見せるわけですから、
どうしてもアダルトビデオの生々しい表現には構わないのも事実です。
では、どういう方がピンク映画ファンに多いのか、私が客観的に見て思うことをいくつかあげていくと、
やはりもともと映画ファンである方がメインのように思います。
以前も書きましたが、観客の方々の年齢層は五十代以上の方が多いです。
きっとその年代の方は若い時から手軽なレジャーとして映画鑑賞があるせいか、
観客層の多数を占めているように思います。
また若い世代もいらっしゃいますが、そういう方々は主演のAV女優さんの作品を見に来るようです。
そうして初めは応援している女優さんの作品のみを見に来ていたのが、
映画本来のもつドラマ性にも面白さを感じて、そのままピンク映画ファンになり、
足繁く劇場に通う方もいらっしゃるようです。
ピンク映画ファンは男性ばかりなのか? ピンク映画ファンに女子はいるのか?
ということですが、これは意外に多く〇人ではありません。女性のピンク映画ファンは増えているのです。
肉食系女子が増加したと言われる昨今ですが、男友達を誘ったりして、
いいえ、それだけにとどまらず単独で劇場に行って鑑賞する強者もいらっしゃいます。
また最近はピンク映画が、いわゆる一般作を上映する映画館で特集公開されることもあります。
それを見て関心をもった女性の映画ファンが、ピンク映画館にも出没するようになりました。
そのため配給会社なども舞台挨拶時に女性専用の特別シートを用意したりして、
女性が鑑賞しやすい環境を作り出す映画館の営業努力などと相まって、
本当に少しずつですが、女性ピンク映画ファンが増えてきたようです。
他にも男子禁制で女子限定のピンク映画観賞会等も企画され、
女子会的なノリで気楽にエロを楽しもうという、イベントも多く企画されているのです。
ただひとつ言えることは、それらの女子の方々は強烈な映画ファン。
いいえ映画マニアと言っても過言ではないような女性たちで、
ピンク映画以外の映画も沢山観ていている方も多く、また鋭く深い鑑識眼も持ち合わせています。
近い将来、ピンク映画ファンも女性上位の時代が来のでは? と思えるのは考えすぎでしょうか?
ひと昔前などは、映画マニアの行着く先がピンク映画だ!! と言われていました。
ですが女性ファンといい、AV女優ファンといい、ピンク映画のファン層は厚みを帯びてきています。
おまけにファン同士の横の繋がりも濃いので、ピンク映画の本数は減ってきていますが、
ダイヤモンドのように強い輝きを持つ個性的なファンの方が、少しずつ増ているような気がします。
最後に私ごとですが、ひとつお知らせです。
私がシナリオを書きました、加藤義一監督「妻の妹 あぶない挑発」が、先日公開されました。
主演はあずみ恋さん。
共演にはベテランの里見瑤子さん。新人TOWAさんが華を添えています。
東京、横浜での公開は終了してしまいましたが、順次、全国のピンク映画館を巡回しますので、
お近くの映画館で見かけましたら、どうぞ、ご覧ください。


 
筆者○鎌田一利
高校2年の時、日本映画史に残る大名匠・木下恵介監督が講演会にて私のファンレターを読みあげ「熊本の少年に幸あれ!」と仰ってくださるも、何処で道を違えたか、ピンク映画、B級SFホラー映画(特にメキシコ&スペイン物)、古い邦画(特に大映時代劇)をこよなく愛し、好きが高じて、星野スミレ名義で加藤義一監督「主婦マル秘不倫後ろから出して」(2012 年9月28日公開)というピンク映画でシナリオ作家デビュー。
2013年春には鎌田一利名義で書いた第2作目(加藤義一監督:不倫OL びんかん濡れ白書)が劇場公開!
ピンク映画界の巨匠、池島ゆたか監督より「キネマ怪人」、清水大敬監督から「鎌田金太郎」、加藤義一監督には「しょ~もない映画評論家」という肩書きを頂いた駆け出しのシナリオ作家です。