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『怪人黒猫男爵』 (左母次郎) 【第3話】

●第3話

※今までのお話はこちら【第1話】【第2話】

その日の午後。秩父鉄道の終点からバスに乗り換えて2時間、麗子さんとチカ子さんは登山口の停留所に降り立ちました。こんな山奥にセーラー服姿の二人は、なんとも場違いに見えました。

「さあ、麗子さん、ここからは黒猫の縄張りだと思って、気を引き閉めて行くわよ」
「よろしくてよ、チカ子さん」

二人は勇んで山道を登り始めましたが、陽はすでに傾きかけていました。尾根道に出た時にはもう夕暮れで、山の向こうに湖がオレンジ色に輝いていました。チカ子さんは地図を広げて、登山道の途中を指差しました。

「いまこの辺りね。電波を最後にキャッチしたのがこの辺だから…」
「黒猫のアジトまであと少しね。頑張りましょう!」

麗子さんは元気よく言いましたが、じつは少し心細くなってきていたのでした。不馴れな山歩きで足は棒のようになっていたし、辺りはみるみる暗くなっていきます。自分の行動は軽率すぎたのではないか…そんな想いが頭をよぎりました。

「待って」

ふいにチカ子さんが立ち止まり、ポケットから小型の懐中電灯を出して、辺りを照らしました。

「どうしたの?」
「誰かいるわ」

チカ子さんは今来た方に懐中電灯を向けました。しかし、怪しいものは何も見えません。

「気のせいだったんじゃないの?」
「そうかもね」

二人は顔を見合わせてくすっと笑いました。その時です!暗がりから黒ずくめの大男がぬっと現れ、襲いかかってきたのです。チカ子さんはとっさに身構えましたが、背後に忍び寄っていた別の男に羽交い締めにされ、鼻と口をハンカチでふさがれてしまいました。つんと薬の臭いがして、チカ子さんはたちまち意識を失ってしまいました。

「チカ子さん!」

その麗子さんも数人の男達に取り囲まれ、薬をかがされてぐったりとその場に倒れ込みました。

黒ずくめの男達は二人のからだを軽々と担いで歩き出しました。しばらく行くとコンクリートで出来た小屋がありました。鉄製のドアをノックすると、中からやはり黒ずくめの人相の悪い男が顔を出しました。

「どうした」
「探偵の弟子らしいのがいたから捕まえて来たぜ」
「そうか、でかした」

男達は二人を小屋の床にどさっと下ろしました。

「徹底的に調べろ。なにしろあの森脇の弟子だからな、何か隠し持っているかもしれん」

男達はチカ子さんのセーラー服や下着を脱がし、検分します。

「こいつはいろいろ持ってやがるな。変装の道具に超小型のカメラ、信号弾まであるぜ」
「そりゃ探偵の七つ道具ってやつだろう」
「それにしても貧相な裸だなぁ。まるで洗濯板に干しぶどうがついてるみてぇだ。こんなんじゃあ、変な気を起こそうたって無理だな」

男達の興味は麗子さんの方に移ります。

「なかなかそそる顔立ちじゃねぇか」
「おや、この顔には見覚えがあるぞ。福河原麗子嬢じゃねぇのか」
「そうだ、麗子嬢に違ぇねえ。しかしなんだってこんな所にいるんだ?」
「さあな。間を覚ましたら黒猫のボスが聞き出すだろうよ。まず報告だ」
「待て待て、その前にこいつも裸にひんむいちゃおうぜ。役得、役得」
「そうだな。観音様を拝んでからにするか」

男達は麗子さんの服を脱がし始めました。

「こいつも胸がふくらんでないな。そっちの痩せっぽちといい勝負だぜ」
「まるで男みたいだな」

麗子さんはたちまちズロース一枚の姿にされてしまいました。その最後の一枚に男の手がかかります。

「いくぜ」

ズロースがずり下げられて、麗子さんの下半身が露わになっていきます。ごくり、と音を立てて誰かが唾を飲み込みました。しかし次の瞬間、男達は素っ頓狂な驚きの声を上げていたのです。

さて、森脇探偵と土井留警部はどうなったでしょうか。二人はヘリコプターで警視庁に帰還するとすぐ、重武装の警察官による急襲部隊を編成したのでした。そして今、装甲車に分乗して一路、秩父山中を目指しているところだったのです。

「いやあ腕が鳴るなぁ、警部、黒猫もこれだけの部隊を相手にしちゃあたじたじですよね」

装甲車のハンドルを握る若い警官の軽口に、警部はにやっと笑って答えます。

「頼むぞ、黒猫退治の是非は君たちの活躍にかかっているんだ」

しかし、警部と森脇探偵の脳裏には今朝方ヘリコプターから見た恐るべき光景が焼き付いていました。

「あれは何だ?」

あの時、警部が指差す山の斜面にはコンクリートで固められた大きな空洞があり、その空洞の中に見えたのは、森脇探偵が推理したような巨大な飛行船…その尾部のようでした。黒猫男爵はやはりこの山中に飛行船の格納庫を隠し持っていたのです。それは実際に目にするととてつもない大きさで、さすがの探偵も驚愕を隠せなかったほどでした。

「まるで要塞だ」

そう、堅牢な要塞に巨大な飛行船。こんなものを持っている黒猫男爵と、にわかに組織した急襲部隊でまともに戦えるのだろうか。正直なところ、警部は不安を感じていました。やがて装甲車の車列は停車し、部隊は森脇探偵を先頭に、徒歩で山中に向かいます。真っ暗な山道を歩きながら、探偵は心の中でつぶやきました。

「沖田君、必ず助け出すから待っていてくれたまえ」

重々しい音がして金属製のドアが開き、黒猫男爵のシルエットが立ちはだかります。

「出て来たまえ。君にお客さんだ」

沖田少年は、いや、少女と呼ぶべきなのか……全裸で後ろ手に縛られたまま廊下を歩かされます。そこは閉じ込められていた殺風景な部屋と違って、豪華なホテルのような内装でした。黒猫男爵は廊下の突き当たりのドアを開け、沖田君に入るようにうながしました。部屋は広々としていて、博物館のようにいろいろな飛行機や船、戦車や大砲の模型が展示されていました。

「ここはコレクションルームだよ。展示してあるのはみな、父が作った兵器類さ。本物はとても入りきらないから模型だけどね」

部屋をまっすぐ突っ切っていくと、宝石や装飾品が並んだコーナーがありました。

「これは私が盗んで来たもののコレクションだ。素晴らしいと思わないかね?」

さらに奥の壁際には、ガラス製の大きな容器がいくつか並んでいました。それぞれに液体が満たされており、その中に立った状態で人間が入っているのでした。沖田君は目を見開きました。これこそ、攫われた美少女達の辿った運命だったのです。何と恐ろしい……。

「これこそ私の最高のコレクションだよ。見たまえ、美しいだろう? 君と麗子嬢もこのコレクションに加えてあげる」

黒猫男爵が昨夜言っていたコレクションとはこのことだったのか。沖田君は全身の血が凍りつくような気がしました。

「麗子さんは森脇先生が守っている。そうやすやすと捕まるものか」
「いいや、麗子嬢はもう私の手の中にあるんだよ。君にお客さんだと言ったのは彼女のことさ」
「何ッ?」

黒猫が一番奥のカーテンをめくると、そこには麗子さんが両手を天井から吊られて立っていました。からだは薄い布で覆ってありますが、その下は裸のようでした。

「麗子さん!」
「沖田さん!」

麗子さんは嬉しそうに笑顔を見せましたが、それは一瞬で、目をそむけてしまいました。沖田君のからだを見てショックを受けたのは言うまでもありません。

「彼女は君を助けにここへ乗り込んできたんだよ。ああ、そうそう、もう一人いたんだっけ」

黒猫が指をぱちんと鳴らすと、黒服の手下が二人掛かりで椅子を運んできました。その椅子に縛り付けられているのはチカ子さんでした。チカ子さんは素っ裸で、そのからだには無数の傷や痣があり、なかば意識を失っているようでした。たった今まで酷い暴力を受けていたのに違いありません。

「彼女はコレクションに加えるにはちょっと貧相だな。まあ、なんらかの形で役には立ってもらうけどね」

黒猫は笑いながら言いました。

「君と麗子嬢にはこれから私のインスピレーションを刺激する手助けをしてもらおうかな。君たちにはホルマリン漬けじゃなくて、剥製になってもらおうと思うんだよ。ヨーロッパに腕のいい剥製職人がいてね、まるで生きているように作ってくれるんだ。君たちにはどんなポーズをとってもらおうかな」

黒猫は麗子さんのからだを覆っている布を剥ぎ取りました。麗子さんは羞恥に身を捩ります。今度は沖田君が驚く番でした。彼女の胸はほとんどふくらんでおらず、少年のようでした。そればかりではありません。股間にはペニスが、それもかなり大きなものがぶら下がっていたのです。

「見ないで……」

麗子さんは蚊の鳴くような声で哀願しました。

「驚いたかね。君が女の身体に男の心が宿っているように、彼女には男の身体に女の心が宿っているのだよ。なんたるシンメトリー。さあ、愛し合いたまえ」

黒猫は彼女の胸に手をのばし、乳首を愛撫しました。

「ああっ……」

切なげな声とともに、ペニスがむくむくと大きくなり始めました。黒猫はそのペニスにも愛撫をくわえます。それはいきり立って、今にも爆発しそうな様子でした。

「どうだね、君の唇で楽にしてやっては」

沖田君はきっぱりと言いました。

「そんなこと出来るものか!」

黒猫はまた指をぱちんと鳴らしました。ふたたび部下の男達が現れ、銀色の小箱を黒猫に手渡します。箱からは数本の電線が伸びていて、その先は金属製のクリップになっていました。男達はチカ子さんの両乳首、舌、そして股間の一番敏感な部分をクリップで挟みました。男達が引き下がると黒猫は沖田君にむかって命令口調で言いました。

「さあ、やれ」

沖田君が応じないでいると、黒猫はにやっと笑いました。

「いつまで強情を張っていられるかな」

そう言いながら手に持った銀色の小箱のスイッチを押したのです。その途端…

「ぎゃああああああ!」

チカ子さんがのけぞり、絶叫しました。電気ショックです。

「戦争中に使われていた拷問の道具だよ。これも父が軍の要請で作ったものだ」

もう一度スイッチを押します。

「あああああああああ!」

チカ子さんのからだは激しく痙攣し、股間からはおしっこが勢い良く迸りました。

「早く言うことを聞いた方がいいよ。これ、やりすぎると死ぬこともあるからね」

沖田君は怒りのこもった目で黒猫を見据えます。

「やるならやってみろ。僕もチカ子さんも、悪党の言うなりになるくらいなら死を選ぶと先生に誓ったんだ」
「沖田さん……」

麗子さんの声ではっとしました。

「お願い。わたしの……おち○ちん、舐めて……」

目に涙をいっぱいにためて、消え入りそうな声でそう言ったのです。

「お願い。我慢出来ないの。舐めて、早く」

沖田君は麗子さんと目を合わせました。自分はどうなってもいいから、チカ子さんを助けたいと麗子さんの目は言っていました。沖田君は素早く頭を回転させました。このままだとまずチカ子さんが、そして麗子さんも自分も殺されてしまう。今は黒猫に屈した振りをして油断させよう……。

怪人黒猫男爵3

沖田君は頷きました。

「やっとその気になったようだな」

黒猫はにんまりと笑みを浮かべてこちらを見ています。沖田君は麗子さんの前に跪き、屹立した熱いペニスにそっと口づけしました。
「あっ!」

麗子さんのからだがびくんと跳ねました。

「も……もっとお願い」

沖田君は口を大きく開け、ペニスの先端を口に含みました。そして舌で舐め回すと、麗子さんは悩ましげに身をくねらせるのでした。ほどなく先端から大量の青臭い液体がどくどくと吐き出されました。

「ああ……あああ……」

沖田君はその全てを啜り、飲み干しました。さらに舌で丁寧に清めます。

「ふふふ、なかなか絵になるじゃないか。そのポーズで行こうか」

黒猫が笑いながら言ったその時。ビーッ、ビーッ、ビーッ……耳障りな警報が鳴り響きました。

「ボス、探偵が警官隊を引き連れて接近中です」

部下の報告に黒猫はいら立ちをあらわにします。

「くそっ、いいところで邪魔が入った。見ていろよ森脇、生きては帰さんぞ」

続く


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